ライドシェアとは、自分の車を持っている人が、お金をもらって他の人を乗せてあげるサービスのことです。海外では、ウーバーやグラブというアプリを使って、簡単にライドシェアを利用できます。
しかし、日本では、ライドシェアはまだ禁止されています。なぜ日本ではライドシェアができないのでしょうか?そして、なぜ今、ライドシェアが解禁に向かっているのでしょうか?
⇒【2023/12/10追記】「第2種運転免許」を持たない一般ドライバーも自家用車をタクシー営業に利用可能にする方向でまとめられつつあります。(業務委託は不可、タクシー会社雇用が条件)
この記事では、ライドシェアが日本で解禁へ向かう理由と、社会経済に与える影響、将来に及ぼす影響についてお伝えします。
ライドシェアが日本で解禁へ向かう理由
改正道路運送法とライドシェア
日本でライドシェアができない理由は、道路運送法に定められています。この法律は、自家用車をお金をもらって運送の用に使う、いわゆる「白タク」行為を禁止(道路運送法 第七十八条)しています。
つまり、自分の車で他の人を乗せてあげることはできても、その人からお金をもらうことはできないということです。
この法律は、タクシーなどの公共交通機関を守るために作られました。タクシーは、安全で信頼できるサービスを提供するために、厳しい規制を受けています。
例えば、運転免許や車両の保安基準、運行管理者の配置などです。ライドシェアは、これらの規制を受けないため、タクシーにとって不公平な競争相手になるという考え方がありました。
しかし、2022年6月17日には、道路運送法が改正されました。改正法では、ライドシェアを「自家用自動車を有償で運送の用に供する行為」から一部除外する規定が設けられました。
つまり、ライドシェアは一部合法化されている状況です。(災害、観光運送、公共の福祉)
ただし、ライドシェア事業者に対しては、運転者の適性や車両の安全性の確認、運行管理者の配置などの義務が課されています。また、タクシーとライドシェアの競争が過度に激化しないように、運賃の上限や運行エリアの制限などの措置も講じられています。
ライドシェア解禁|背後にある動きや理由
では、なぜ道路運送法が改正されたのでしょうか?その背景には、以下のような動きがあります。
ライドシェア解禁|社会経済に与える影響
ライドシェアが解禁されると、社会経済にどのような影響があるのでしょうか?ここでは、タクシー業界と公共交通の未来について考えてみましょう。
ライドシェア解禁|タクシー業界の影響
ライドシェアが解禁されると、タクシー業界はどうなるのでしょうか?タクシー業界は、ライドシェアの規制緩和に反対してきました。
その理由は、ライドシェアがタクシーの競争相手になり、収入や雇用に悪影響を及ぼすと考えているからです。実際に、海外ではライドシェアの普及によって、タクシーの需要や売上が減少したという報告があります。
しかし、ライドシェアがタクシーにとって必ずしも敵ではないという見方もあります。
ライドシェアは、タクシーがカバーできない地域や時間帯、ニーズに対応できるという利点があります。例えば、田舎や郊外ではタクシーが少なく、待ち時間が長い場合がありますが、ライドシェアなら近くの運転手を呼べるかもしれません。
また、深夜や早朝など、タクシーの需要が低い時間帯には、ライドシェアが安くて便利な選択肢になるかもしれません。
ライドシェア解禁|タクシーとの棲み分け・連携や協力
さらに、ライドシェアは、タクシーとは違ったサービスや価値を提供できます。
例えば、ライドシェアなら、自分の好きな運転手や車種を選べたり、同じ目的地に向かう人と相乗りできたりするかもしれません。
ライドシェアが解禁されると、タクシー業界は新たな収益源を得られる可能性があります。タクシー会社や運転手は、ライドシェアのプラットフォームに参加して、自分の車両や時間を有効活用できます。
また、タクシーとライドシェアの連携や協力も可能になります。
例えば、タクシー会社は、ライドシェアの運転手に研修や保険を提供して、品質や安全性を向上させることができます。また、タクシーとライドシェアの予約や配車を一元化することで、利用者にとっても便利になります。
ライドシェアが解禁されると、タクシー業界は競争が激化するというデメリットもあります。
タクシーは、ライドシェアよりも高い料金や厳しい規制に縛られています。そのため、利用者がライドシェアに流れる可能性があります。
タクシー業界は、ライドシェアとの公平な競争を求めるとともに、自らの強みや魅力を高めることで、ライドシェアとの差別化を図る必要があります。
ライドシェア解禁|公共交通の未来
ライドシェアが解禁されると、公共交通の未来はどうなるのでしょうか?
公共交通は、バスや電車などの共同で利用する交通手段です。公共交通は、ライドシェアとは違って、決まったルートや時間に運行されています。そのため、利用者にとっては、ライドシェアよりも不便や不自由な場合があります。
しかし、公共交通にもライドシェアにはないメリットがあります。例えば、公共交通は、ライドシェアよりも安くて環境に優しいという利点があります。
また、公共交通は、ライドシェアよりも安全や信頼性が高いという利点もあります。
ライドシェアが解禁されると、公共交通はライドシェアと協力することで、より良いサービスを提供できる可能性があります。例えば、公共交通とライドシェアのチケットや料金を一体化することで、利用者にとっても便利になります。
また、公共交通とライドシェアの乗り継ぎや連携をスムーズにすることで、利用者にとっても快適になります。さらに、公共交通とライドシェアのデータや情報を共有することで、利用者にとっても有益になります。
ライドシェアが解禁されると、公共交通はライドシェアと競合することもあります。ライドシェアは、公共交通がカバーできない地域や時間帯、ニーズに対応できるという利点があります。そのため、利用者が公共交通からライドシェアに流れる可能性があります。
公共交通は、ライドシェアとの公平な競争を求めるとともに、自らの強みや魅力を高めることで、ライドシェアとの差別化を図る必要があります。
ライドシェア解禁|将来に及ぼす影響
ライドシェアが解禁されると、社会経済にどのような影響があるのでしょうか。ここでは、ライドシェア解禁が将来に及ぼす影響について考えてみましょう。
ライドシェア解禁|長期的な影響
ライドシェア解禁は、長期的に見ると、交通の効率化や多様化につながる可能性があります。
ライドシェアは、タクシーと比べて料金が安く、予約や配車が簡単なので、利用者のニーズや状況に応じた選択肢を提供できます。また、空車の車両を有効活用できるので、交通渋滞の緩和や交通量の削減にも貢献できます。
ライドシェア解禁は、環境にも良い影響を与える可能性があります。ライドシェアは、相乗りや配車サービスを通じて、移動に必要な車両数を減らすことができます。これにより、排気ガスや騒音などの環境負荷を減らすことができます。
また、ライドシェアは、電動化や自動運転などの新しい技術とも相性が良いので、環境に優しい交通システムの実現にも寄与できます。
ライドシェア解禁は、経済にも良い影響を与える可能性があります。ライドシェアは、個人が自家用車を活用して収入を得ることができるので、副業や起業の機会を増やすことができます。
また、ライドシェアは、観光やビジネスなどの移動にかかる費用を安くすることができるので、消費や投資を促進することができます。
さらに、ライドシェアは、新たな交通サービスの需要を生み出すことができるので、産業の活性化やイノベーションの創出にもつながることができます。
ライドシェア解禁|これからの交通政策
ライドシェア解禁は、交通政策にも大きな影響を与えるでしょう。
ライドシェアは、既存の交通システムや産業、文化などに影響や変化をもたらす可能性があります。これらは、利害や価値の衝突や対立を引き起こす可能性もあります。
例えば、タクシー業界や公共交通機関との競争や協調、ライドシェア事業者や利用者の権利や義務、ライドシェアに関する法律や規制などが、今後の課題となるでしょう。
ライドシェア解禁によって、交通政策は、より柔軟で多様な視点で考える必要があるでしょう。
ライドシェアは、利用者や提供者のニーズや状況に応じた選択肢を提供することができるので、交通政策も、一律ではなく、地域や目的に応じた対策を講じることができるものと考えられます。
また、ライドシェアは、新しい技術やサービスとも相性が良いので、交通政策も、革新的で創造的なアイデアを取り入れることができるでしょう。
まとめ
日本がライドシェア解禁に向かう理由
この記事では、ライドシェアが日本で解禁へ向かう理由と、解禁が将来に及ぼす影響について考えてみました。ライドシェアは、交通の効率化や多様化、環境や経済の改善など、多くのメリットをもたらす可能性があります。
しかし、同時に、タクシー業界や公共交通機関との関係や、ライドシェア事業者や利用者の権利や義務など、多くの課題も抱えています。
ライドシェア解禁によって、交通政策は、より柔軟で多様な視点で考える必要があるでしょう。
ライドシェアは、まだ解禁されているわけではありませんが、解禁の機運が高まっています。ライドシェアが日本の交通にどのような変化をもたらすのか、今後の動向に注目していきましょう。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。