家庭内で電化製品を使う際、うっかり感電や漏電による火災などのリスクを見落としがちです。
特に水回りの家電製品は、湿気が高く感電の恐れがあるため、アース線の設置が重要と言えます。最近の家電製品は漏電リスクは低いものの、地震などの外的要因による感電や火災の危険性は否定できません。
この記事では、アース線を付けられない場合の対処法を3つ紹介します。安全のためしっかり押さえておきましょう。
<筆者:よっとちゃん>
電気工事士ならびに防災士の資格を持つ観点から、わかりやすく記事をお伝えします。
アース線とは?なぜ必要なの?
アース(接地)とは、感電や火災を防止するための重要な設備です。アース線は、家電製品の金属部分と地面(大地)をつなぐ導線のことを指します。
一般的には、家電製品の背面にあるアース端子と家庭用コンセントにあるアース端子とを緑色のアース線で接続します。
引用(画像):アース線とは – 関東電気保安協会
機器のアース端子とコンセントのアース端子を接続することで、万が一機器が漏電した際に、電流が地面へ逃げる経路ができるのです。これにより、感電や火災のリスクを大幅に下げることができます。
キッチンなどの水まわりでは湿気が多く、感電や漏電のリスクが高まります。電子レンジやウォーターサーバー、冷蔵庫などの水回り家電にはアース線を必ず設置する必要があります。
最近の家電製品は安全性が高まり、漏電リスクは低くなっています。しかし、人為的なミスや製品の故障、さらには地震などの自然災害によりアース線がない場合は感電や火災が発生する可能性があります。
大地震で2次災害として広がりやすい火災は、ガスや火の元だけが原因じゃないからね!
そのため、安全対策としてアース線をしっかりと接続しておくことが不可欠なのです。
アース線の役割と重要性が理解できたでしょうか。次に、アース線がない場合の具体的な対処法を見ていきましょう。
アース線をつなぐ端子がない?対処方法3選
コンセントにアース線をつなぐ端子がない場合、感電や火災のリスクが高まるため、適切な対処が必要です。
❶アース付きコンセントへ交換する
コンセント自体にアース端子がない場合は、電気工事店に依頼してアース付きのコンセントに交換する必要があります。交換自体は1箇所あたり数千円程度が相場ですが、アース線の取り回しも含めると工事としては1万円以上が目安となります。
賃貸の場合は、大家さんや管理会社に相談してみるのも手かも♪
❷冷蔵庫のコンセントにアース線を延長する
キッチンにアース付きコンセントがあれば、そこからアース線を冷蔵庫などの家電のアース端子に延長接続することができます。ドライバーとアース線(約2m/1000円程度)があれば簡単に自分でも対応可能です。
❸プラグ型漏電遮断器を使う
アース工事が難しい場合は、プラグ型漏電遮断器(約2000円~)を使うのも一案です。漏電を感知するとすぐに電源を遮断してくれるので、代替策としては有効です。ただし、アースの役割とは違うので、根本的な安全対策とはいえません。
3つの対処方法にはメリット・デメリットがあります。アース工事は費用と手間がかかりますが、根本的な解決につながります。一方、アース線の延長や漏電遮断器利用は比較的手軽です。漏電遮断器はアースの役割とは違う点に注意が必要です。
費用面と手間を考えれば、アース線の延長が最もお手軽な方法と言えるでしょう。電気製品を買い換える際は、できればアース機能つきを選ぶことをおすすめします。火災保険にも加入しておけば、万が一の備えもできますね。
具体的な対処法がわかったところで、次にアース線の管理方法について解説します。
アース線の正しい取り扱い方
アース線を付けただけでは十分ではなく、正しい取り扱い方を守る必要があります。
アース線を取り付けたら、定期的な点検が重要になります。アース線にキズやゆるみ、断線がないかを1年に1回程度チェックしましょう。異常があれば、新しいアース線に交換するなどの対処が必要です。
また、複数の家電製品を1つのアース端子に接続しないのが望ましいです。
1機器に付き1本のアース線を接続するのが理想です。機器を動かす際も、ケーブルを無理に引っ張らず丁寧に扱いましょう。
とはいえ、どうしても繋げられる端子がない場合は、複数線を接続することもやむなしです。ただし、物理的に緩まったり、浮いたり、外れたりしないよう、十分注意が必要です。
アース端子のつくりは、何本もアース線をつなぐことを想定されていないよ。
物理的にしっかりつなげば可能ではあるけども、ヌケ・トレ・ハズレには十分気を付けてね!
間違っても、電話用のアース端子につないだらダメよ!!
定期的な点検と適切な取り扱いを心がけることで、アース線が長く正常に機能し続けます。アース線の先端部分が曲がったり摩耗したりする と、接地抵抗が高まり本来の機能を発揮できなくなるからです。
プロに定期的なアース線のメンテナンスを依頼するのも賢明な選択肢です。自分で対応するのは難しい場合もあるでしょう。
アース線の取り扱いについて理解を深めたところで、最後にアース線に関するよくある質問にお答えします。
よくある質問
Q1.家電のメーカー保証でアース線の取り付けは義務付けられている?
A.はい。メーカー指定の取扱説明書にもアース線の接続が記載されています。家電メーカーはアース付きコンセントの使用を前提としています。
Q2.アース線が古くなると交換する必要がある?
A.アース線の劣化が激しければ新しいものに交換した方が良いでしょう。5年を目安に点検し、摩耗や断線がみられれば交換をおすすめします。
Q3.落雷の時もアース線が役立つ?
A.はい。落雷時に家屋内に侵入した雷電流をアース線が大地に逃がすため、機器の損傷や火災を防げます。
まとめ
アース線を設置し、正しく管理することは家庭内の感電や火災を防ぐ上で必須です。特に水回りの家電製品では、電気製品と水分が近接するため、アース線の役割は極めて重要となります。
ウォーターサーバーなどの機器は、老朽化や水の浸入で内部回路がショートし、漏電する危険性があります。アース線があれば、漏電した電流を確実に大地に逃がすことができます。
アース線がない場合は、適切な対処が必要不可欠です。コンセントをアース付きに交換するか、プラグ型漏電遮断器を使うなどの対策を講じましょう。
メーカー指定の取扱説明書にもアース線の接続が記載されているように、家電メーカーはアース付きコンセントの使用を前提としています。アース線は感電事故を防ぐ重要な役割を担っているのです。
このように、水回りの電化製品へのアース線設置は必須であり、設置が難しい場合は適切な対処が求められます。安全な生活環境を整えるためにも、アース線の重要性を理解し正しく設置しましょう。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。