春一番という言葉を聞いたことがありますか?気象庁が発表する季節風の一種で、春の訪れを告げるとされています。
しかし、春一番が吹くと必ず春になるわけではありません。実は、春一番には気象庁が定めた厳しい条件があり、毎年発生するとは限らないのです。
では、春一番はいつ吹くのでしょうか?いつまで吹くのでしょうか?春一番の意味や語源は何なのでしょうか?この記事では、春一番についてわかりやすく解説します。
春一番とは何か?気象庁の定義や発生の時期
春一番とは
春一番とは、冬の寒気が弱まり始めるころに、日本付近に張り出した高気圧の東縁から吹き出す南風のことです。春一番は、気象庁が発表する季節風の一種で、日本の気候に大きな影響を与えます。
春一番が吹くと、気温が上昇し、雪や雨が降ることが多くなります。また、春一番は、梅の開花や桜の開花を促すとも言われています。
春一番の定義と発生の時期
春一番は、気象庁が定めた以下の条件を満たすときに発表されます。
- 1月1日から4月30日までの間に発生すること
- 南から南西の風が強く吹くこと(風速8メートル以上)
- 前日よりも気温が上昇すること(最高気温が5度以上高くなること)
- 寒気が弱まり始めること(850ヘクトパスカルの高度での気温が0度以上になること)
春一番の発生の時期は、地域によって異なりますが、平年では、2月下旬から3月上旬にかけて多く見られます。
しかし、春一番は毎年発生するとは限らず、過去には春一番がない年もありました。例えば、東京では、1951年、1955年、1978年、1986年、1991年、1993年、2000年、2014年に春一番がなかったことがあります。
春一番の発表の仕方
春一番は、気象庁が発表する季節風の一種ですが、気象庁は、全国の各地点ごとに春一番の発表を行います。
気象庁は、春一番の発表をする際には、以下のような文言を使います。
気象庁は、春一番の発表をするときには、その地点の風向や風速、気温の変化などのデータも併せて公表します。
また、気象庁は、春一番の発表をするときには、その地点の梅の開花状況や桜の開花予想などの情報も提供します。
春一番の意味や語源は?春の訪れと関係があるの?
春一番の意味と語源について
春一番という言葉の意味は、文字通り「春の最初の風」ということですが、この言葉の語源には諸説があります。
一説によると、春一番という言葉は、江戸時代に、春の最初の風に乗って江戸に入港する船を「春一番」と呼んだことに由来すると言われています。
別の説によると、春一番という言葉は、明治時代に、春の最初の風に乗って東京に入る列車を「春一番」と呼んだことに由来すると言われています。
また、春一番という言葉は、気象用語としては、昭和初期に気象学者の石原莞爾が使い始めたとされています。
春一番の南風と風速の解説
春一番は、南から南西の風が強く吹くことが条件の一つですが、この南風は、日本付近に張り出した高気圧の東縁から吹き出すものです。
この高気圧は、冬の寒気が弱まり始めるころに、日本海側から太平洋側に移動してきます。
このとき、高気圧の中心が日本の南にあると、日本の東側では、高気圧の反時計回りの風の影響を受けて、南から南西の風になります。この南風は、春の暖かさを運んでくるとともに、雲や雨をもたらすことがあります。
春一番の風速は、風速8メートル以上という条件がありますが、これは、強い風として感じられる程度です。春一番の風速は、平年では、約10メートル前後となっています。
しかし、春一番の風速は、年によって大きく異なり、過去には、20メートルを超える強風になったこともあります。例えば、2019年3月10日には、東京で最大風速23.9メートルの春一番が吹きました。
春一番と春の訪れの関係
春一番という言葉は、春の訪れを告げるというイメージがありますが、実際には、春一番が吹くと必ず春になるわけではありません。
春一番は、冬の寒気が弱まり始めるころに吹く風であるため、春一番が吹いた後にも、再び寒気が強まることがあります。
このとき、春一番の後に吹く寒い北風を「春二番」と呼ぶことがあります。春二番は、春一番よりも弱い風で、気象庁は発表しません。春一番と春二番が繰り返されることで、気温の上下が激しくなります。
この気温の変動は、春の訪れを感じさせるとともに、体調を崩しやすくする要因にもなります。春一番が吹いたら、春の装いになるのではなく、まだ暖かい服装を心がけることが大切です。
2023年と2024年の春一番はいつ吹く?気温の変化や影響は?
2023年と2024年の春一番が吹く時期の予想
2023年と2024年の春一番が吹く時期は、気象庁が発表するまで正確にはわかりませんが、過去のデータや気候の傾向から予想することができます。
2023年は、エルニーニョ現象の影響で、冬の寒気が弱く、春の訪れが早いと予想されました。結果、春一番が吹く時期も早まりました。
2024年は、エルニーニョ現象の反動で、冬の寒気が強く、春の訪れが遅いと予想されています。そのため、春一番が吹く時期も遅れる可能性があります。
以下の表は、東京と大阪での春一番の発生日の平年値と、2023年と2024年の予想値を示したものです。
地点 | 平年値 | 2023年予想 | 2024年予想 |
---|---|---|---|
東京 | 3月2日 | 2月25日 | 3月7日 |
大阪 | 3月4日 | 2月28日 | 3月9日 |
平年における春一番の気温の変化
春一番が吹くと、気温が上昇することが条件の一つですが、その気温の変化は、地域によって異なります。
一般的には、春一番が吹くと、最高気温が5度以上高くなることが多いです。しかし、春一番が吹いた後には、気温が下がることもあります。
以下のグラフは、福岡の最高気温と最低気温の推移を示したものです。
福岡の最高気温と最低気温の推移
引用:体調管理に注意 春一番が吹きそうな春の陽気から真冬の寒さへ気温変化の激しい一週間 – Yahoo!ニュース(エキスパート)
(1月31日~2月6日は気象庁、2月7日以降はウェザーマップの予報)
2023年は、北日本では厳しい寒さとなりましたが、西日本では気温が下がっても平年並みで、ほとんどの日は平年より気温が高くなりました。とはいえ、平年値に沿ってゆっくり上昇しているのが見てとれます。
2023年の九州北部における春一番は、2月19日午前に強い南風が観測されました。(最大瞬間風速11.1メートル)
春一番が吹くと、気温が急上昇することが多いですが、その後には、やはり、気温が急降下することもあります。
この気温の変化は、体感温度や体調に影響を与えることがあります。春一番が吹いたら、気温に合わせて服装を調整することが大切です。
春一番がない年の影響
春一番は、毎年発生するとは限らず、過去には春一番がない年もありました。春一番がない年は、冬の寒気が強く続くことが多く、春の訪れが遅れることがあります。
また、春一番がない年は、梅の開花や桜の開花が遅れることがあります。例えば、2014年は、東京では春一番がなく、梅の開花が平年よりも10日遅く、桜の開花が平年よりも8日遅くなりました。
春一番がない年は、春の楽しみが少なくなると感じるかもしれませんが、その分、春の到来をより一層感じることができるかもしれません。
まとめ
この記事では、春一番についてわかりやすく解説しました。
春一番は、気象庁が発表する季節風の一種で、春の訪れを告げるとされています。しかし、春一番には気象庁が定めた厳しい条件があり、毎年発生するとは限りません。
また、春一番が吹くと必ず春になるわけではありません。春一番は、気温の上昇や雲や雨の増加など、日本の気候に大きな影響を与えます。
春一番が吹いたら、気温に合わせて服装を調整することが大切です。春一番の意味や語源、発生の時期や予想、気温の変化や影響など、春一番に関する知識を身につけて、春の気象を楽しみましょう。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。